診療の案内

硝子体手術の説明

眼内は硝子体と呼ばれるゼリー状の物質で満たされています。硝子体は網膜剥離の原因になったり、出血がたまって視力を損なったり、細菌感染の場になったと様々な眼疾患に関係します。
1980年頃より硝子体を切除する硝子体手術が広まり、難治であった糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑疾患が治療可能となりました。

硝子体手術

硝子体手術はベッドに仰向けになり、消毒の後、清潔なカバーを顔にかけて行います。
手術は基本的に局所麻酔です。
手術時間は約1.5~3時間です。硝子体手術では硝子体に置き換える還流液、眼内照明、硝子体カッターなどの入り口を眼球に作って、眼疾患に関係している硝子体の切除を行います。
必要に応じて眼内染色液の使用や薬物注入、網膜上の膜除去、レーザー凝固などの操作を行います。

 

手術終了時に眼内の状況に応じてガス、シリコンオイルなどを眼内に入れる場合があります。
ガスは自然に2週間程で眼内の水に置き換わります。
シリコンオイルはより重症例に使用され、眼内の状態が落ち着いたら再手術によって除去します。

 

硝子体 硝子体切除

白内障の同時手術

硝子体手術をおこなうと白内障の急速な進行が認められます。
また、白内障手術を同時に行うことによって硝子体手術が安全、確実にできるという長所もあります。
このような理由よりほとんどの症例で硝子体手術と白内障手術を同時に行います。
多くの場合人工レンズを挿入しますが、症例によっては再手術で後日人工レンズを挿入します。

硝子体手術の合併症

---*感染性眼内炎*---
術前、術後の抗生剤の使用、術中の消毒と可能な限りの対応をしていますが手術の創より眼表面等の病原菌がはいり、眼内感染を起こす可能性があります(約0.1%)。
眼内感染がおこった場合、再手術、抗生剤の投与をおこないますが視力予後は不良です。

 

 

---*駆出性出血*---
眼内の血管が破綻をおこして大出血をおこす稀な合併症です。
すべての眼科手術で起こる可能性があります。

 

 

---*網膜裂孔、網膜剥離*---
眼内操作や術後の硝子体収縮により新たな網膜裂孔、剥離が生じる可能があります。
多くの場合再手術を必要とします。

 

 

---*増殖硝子体網膜症*---
術後、眼内に形成された膜によって網膜剥離が生じる難治性の合併症です。
長期間放置された眼疾患や若年者の術後に起こりやすい傾向があります。

 

 

---*血管新生緑内障*---
糖尿病網膜症の術後などに生じた新生血管が眼内の排水を妨げて眼圧が上昇して緑内障へ進行する難治性の疾患です。

 

 

---*眼圧上昇*---
術後に眼圧が上昇する合併症です。
ほとんどの場合、経過観察あるいは点眼剤の使用によって改善しますが、長期間、点眼剤を使用しなければならない場合もあります。

 

 

---*硝子体出血*---
術後、眼内で出血が生じることがあります。
糖尿病網膜症の術後では頻発します。
多くの場合2週間以内で改善しますが、再手術が必要な場合もあります。

 

 

---*術後の充血、異物感*---
眼の表面に手術による傷が残ります。
数ヶ月で目立たなくなりますが、充血し易くなり、違和感が残ることがあります。

入院期間、安静について

手術終了時に眼内にガスやシリコンオイルをいれた場合はその浮力で網膜の復位をうながすために術後約一週間は下向きで安静を維持する必要があります。
経過が良好な場合は約10日間の入院になります。
ガスなどをいれない場合、経過良好ならば術後3日目以降に退院可能です。

  • 手術終了時にガスをいれる可能性があります。
  • 手術終了時にシリコンオイルをいれる可能性があります。

術後の視力予後

疾患によって視力回復の経過は異なりますが網膜中心部に障害をうけた眼疾患ではものがゆがんで見える症状が残る場合があります。
術直後に視力が悪くとも術後半年程は視力の回復が期待できます。

退院後の安静

退院直後より家事、外出などは可能です。
仕事の復帰、旅行、運動等の詳細については主治医とご相談ください。
術後の点眼薬は約一ヶ月間ほど続ける必要があります。

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